むち打ちの症状と後遺症
むち打ち症状とは、自動車事故によって、追突・衝突・急停車などの衝撃で頭部が鞭(むち)のように激しく前後にしなり、頚部(首)などに障害が発生することをいいます。首や首周辺の打ち身・骨折・頭部外傷・首の捻挫などをムチウチ症と呼ばれています。「むち打ち症」のほとんどは、事故の際の強い衝撃により、全身の筋肉バランスが崩れることが原因で起こります。
- むち打ち症の患者さんによくある特徴的な症状についていくつか代表的なもの挙げます。
- 病院で、骨には異常がないと言われたのに症状が改善しない。
- 症状は、良い時と悪い時を繰り返して長期間にわたることが多い。
- 痛む場所が日によって違う気がする。
- 少しの運動や仕事をするだけで症状が悪化してしまう。
- 天候の変化(特に気圧)や寒さ、湿度などに体調が振り回されてしまう。
- 夕方から朝方にかけて痛みや突っ張った感じがひどくなる。
- 集中力がなくなり、長時間の仕事がはかどらない、できない。
- 頭痛・だるさ・無気力感・全身の疲労感・吐き気・不眠など体調が狂う。
- いったん落ち着いたと思った症状が、出たり消えたりと落ち着かなくなる。
- 以前の自分と違う体調に、うつではないかと考え込んでしまう。
- よくあるむちうち(頚部捻挫)の後遺症
- 雨の日や寒い日に首が疼く
- 上を向くと首に痛みが残っている(可動域が小さくなってしまった)
- 後になって痛みや違和感が出てきた
- 以前より腰や肩がコリやすくなった
- 以前より疲れやすくなった
- 頭痛に悩まされるようになった。
- 以前より倦怠感を感じる事が多くなった。
このようなむちうち(頚部捻挫)の後遺症は、整骨院で早期に適切な治療・リハビリを受けることで防ぐことが充分可能です。
交通事故でむち打ちになった場合、初めに、病院に行かれると思います。病院ではレントゲン、MRI、CTといった画像検査で、ムチウチや痛みの原因をつきとめようとします。しかし「むちうち」は画像検査では映りません。「むち打ち症」という病名はないのです。医師の診断では「頚椎捻挫」、「頚部挫傷」、「外傷性頚部症候群」として診断名がつけられます。
医学的には問題はない。病院では根本的な治療ができません。鎮痛薬、消炎薬など、症状の一つ一つについての対症療法になってしまいます。
筋肉や靭帯に損傷があっても、「自覚症状はあるのになかなか損傷を認めてもらえない」というのが、患者さんの一番悩まされるところです。また、事故直後にははっきりとした症状が現れないこともあり、3~4日経って から体の変調に気づくということも多くあります。
ムチ打ち症状は、痛めた場所の根っこまで治してあげることこそ、むち打ち症の根治療法となり、のちの後遺症を最小限に抑えられるのです。
むち打ち症状の種類
頸椎捻挫型
頚椎の周りの筋肉や靭帯、軟部組織の損傷で最も多くみられ、むちうち症全体の70~80%を占めているとされています。頚椎(首の骨)の周りの筋肉や靭帯、軟部組織が損傷されます。
【主な症状】
首の後ろや肩を動かした時のにぶい痛み(首を伸ばすと痛みが強くなる)、首や肩が動きにくい運動制限、首・肩・背中の凝り、頭痛・めまいなど
神経根症型
頚椎(首の骨)に歪みが出ることで神経が圧迫され、主に首や上肢(手や腕)に症状が現れます。この痛みは咳やくしゃみをしたり、首を横に曲げたり、回したり、首や肩を一定の方向に引っ張ったりした時に強くなります。
【主な症状】
首の痛み、腕の痺れや痛み、だるさ、筋力の低下、顔面痛、後頭部の痛み、布を被ったような顔の違和感など
バレリュー型(後頚部交感神経症候群)
事故にあった後、適切な安静が保たれていないと起こる可能性が高いと言われています。頚部(首)の交感神経の働きが異常になり、頚椎に沿って走っている椎骨動脈の血流が低下します。
【主な症状】
頭痛、首や肩の痛みや凝り、めまい、耳鳴り、吐き気、目のかすみ、視力低下、片方の顔の痛み、声がれ、飲み込みにくい、胸の締めつけ、全身の倦怠感、集中力の低下など
脊髄症状型
頚椎の脊柱管を通る脊髄が傷ついたり、下肢に伸びている神経が損傷されたりします。首の脱臼骨折を合併している場合や、もともと首に痛みがある方は脊髄を痛めることがあります。
【主な症状】
腕や手、指先、下肢の痺れ、知覚異常、歩行障害、排尿・排便をしにくいといった膀胱直腸障害など
脳脊髄液減少型
一時的に髄液圧が急上昇しその圧が下方に伝わって腰椎の神経根にもっとも強い圧がかかりクモ膜が裂けると考えられています。脳脊髄液減少症の症状はきわめて多彩で、いわゆる不定愁訴がそれに相当します。むち打ち 症が何年も治らない方に可能性があるとも言われています。初期症状は頭痛が特徴的であり、天候や気圧の変化に左右されます。
【主な症状】
頭・首・手・足などのさまざまな痛み、聴力・視力・味覚の障害などの脳神経症状、自律神経症状、不眠、鬱などの大脳機能障害、倦怠感、月経困難など ※他にもさまざまな症状が出現します