第五中足骨骨折・下駄骨折(基底部)・ジョーンズ骨折(骨幹端部)

第五中足骨骨折は主に2つの骨折が有名です。 一つは中足骨の中で一番多い下駄骨折(第五中足骨基底部骨折) もう一つが治りの悪いジョーンズ骨折(第五中足骨骨幹端部骨折)といいます。

下駄骨折は、主に足首を捻ったりした際に、足の小指の根元にある第五中足骨を筋肉で引っ張られて骨折する疾患です。細かい部位はジョーンズ骨折の部位より足首に近いところに骨折の部位があります。 骨折しても歩けるケースが多く、また足首を捻って骨折するので、人によっては捻挫と間違えてしますこともあります。足首の外側のやや前方に強い痛みと腫れと足全体にアザ(内出血)を生じます。

ジョーンズ骨折は、サッカーやラグビーなどする人によくみられ、カットプレーやステップターンなどで足の外側に体重がかかり、それを繰り返すことによって、第5中足骨基部にストレスがかかり、折れてしまうと考えられています。つまり、疲労骨折ということです。ただ、つま先立ちの姿勢で足をひねった時になることなどもあります。細かい部位は下駄骨折よりも指側に骨折の部位があります。

原因・症状

下駄骨折の原因 第五中足骨とは足の小指の根元と足の甲の骨をつないでいる部分をいいます。 非常に骨折しやすく、さらに捻挫と同じ形で骨折することが多い特徴があります。昔は下駄をはいている人がなりやすかったので下駄骨折といい、現代ではハイヒールだったり、厚底サンダルで足首をひねった時になりやすいです。

ジョーンズ骨折の原因 足を動かす際、筋肉の働きにより第五中足骨には3方向からのストレスがかかっています。 最も足の外側にあるために地面からの力を直接受けやすいという条件下にあり、カット動作などを行う時、アーチがたわみ、ストレスがさらにかかり、針金が何度も曲げられると折れてしまうように、骨が疲労骨折してしまいます。 ちなみに、偏平足の人やアキレス腱の硬い人などがジョーンズ骨折を生じやすいといわれていますが、擦り減ったシューズを長年使用していたり、床が硬いところでプレーを続けることでも生じます。 疲労骨折は症状が急激に現れるのではなく、少しずつ痛みが慢性化していき、発生当初はレントゲンにも映らないため、痛みがあるままスポーツを続ける人も多くなってしまいます。 痛みがあるままプレーをすることで、疲労骨折が完全骨折になってしまうこともあるので、痛みが続く場合は原因となるスポーツをしばらく休むことが必要です。 また、疲労骨折の場合は癒合に時間がかかる上、ジョーンズ骨折が生じる部分は血行が他の部分に比べて少ないので、骨が癒合しにくいため、治りにくくなります。

症状は 下駄骨折は、足首の外側のやや前方に強い痛みと腫れがでます。

ジョーンズ骨折は、足の甲(外側)が激しい痛みではなくジンジン、ヒリヒリするような痛みが、急激にでることもありますが、大体は徐々に痛みがでます。

検査・治療法

検査は、 下駄骨折・ジョーンズ骨折共に、第5中足骨(小指側)の根元に明らかな圧痛を認め、内反ストレス(内返し)を加えると激痛を生じます。 治療は 下駄骨折は、骨折部のずれが少ないか軽い骨折であるため、実際に手術の対象となる場合はまれです。ずれがなく痛みやはれが少ない場合は、湿布と包帯だけを使用することもあります。厳重に固定をしなくても、骨折部の骨膜や靭帯の連続性が保たれているため、骨折部のずれが大きくなることはほとんどありません。 骨折の状態によっては、ギプスや固定装具で経過観察します。ギプス装着の期間は1~4週間と状態によって異なり、固定装具やギプスをしない場合の注意事項は、痛みの出る動作を極力しないことです。 一般的には、痛みがほぼなくなるには約1カ月、はれがなくなるには2~3カ月を要します。 ずれが著明なケースでは、手術を検討します。

ジョーンズ骨折は、骨癒合が悪い部分であるため、固定などを行っても治りにくい場合には、手術を行うことがあります。 骨癒合や症状の状況に応じて、ストレッチング、筋力増強訓練なども行われます。 治療後にサッカーやラグビーなどのスポーツを続ける人には、外側縦アーチを守るため、足底板をシューズに入れることを勧めることもあります。アーチを支える構造になっている足底板は、外側縦アーチにかかるストレスを小さくすることができます。

外脛骨障害

外脛骨障害はセーバー病、オスグット病と同じく成長期の子供多い疾患で、足の内側の骨が出っ張り始め、炎症を起こすと痛みの症状が出始めます。 基本的に治療の必要はなく、痛みが引くまで運動を控えることで症状は治まりますが、症状を悪化させてしまうと外脛骨を摘出する手術療法が必要になることもあるため注意が必要です。

原因・症状

外脛骨は内くるぶしの下側にある丸く小さな骨をいいます。 外脛骨は全ての人に存在しているわけでありません。小学生から中学校のいわゆる思春期を迎えた子供の約15%に形成される骨です。外脛骨があるからといって必ずしも痛みの症状が出るわけではなく、大半のケースは無症状なのです。

しかし、10代の時期に激しいスポーツを繰り返し、過度な負担をかけてしまったり、その部分もしくは周辺に外傷を負うことで炎症を起こし、結果として痛みが現れることがあります。

ただし、痛みの症状は生涯続くわけではなく、骨の成長が止まる17~19歳になると突如として消えてしまいます。スポーツで受ける衝撃が原因にも関わらず、成長期の子供しか現れない珍しい疾患なのです。

治療法・予防

痛みの原因が外脛骨によるものなのかを確認するはエックス線検査やMRI検査が有効です。外脛骨障害の治療は 炎症が治まるまで運動を中止し安静に保つことで痛みの緩和をさせます。これは、はっきりとは言えませんが、痛みを早く取るのに筋肉からの問題が関与しているようであれば、手技療法などで緩和することも考えられます。 ただし、長期間痛みが消えず運動に支障が出ているケースでは、治療期間を短くする目的で外脛骨を手術で摘出する場合があります。

外脛骨による痛みの症状を予防するには、足にあったシューズ選びや、土踏まずをしっかりサポートできる中敷き(インソール)、運動後のアイシング、ストレッチなどが効果的です。

セーバー病

セーバー病は別名「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」とも言われ、かかとに痛みなどの症状を起こす疾患です。

主に10歳前後の男の子に多く見られる疾患で、痛みはジャンプの着地時に強くなります。 炎症が原因となりセーバー病を起こしていることがほとんどですが、中には軟骨が骨折していることもあるため注意が必要です。

原因・症状

セーバー病はオスグット病などと同じく、成長期の子供に多い疾患です。 これは発育途中の骨に強い力が繰り返し加わることで炎症を起こし、これが痛みを起こす原因になります。つまり運動のしすぎ、オーバーユースが原因です。 具体的には縄跳びやバスケットボールなどが痛みの原因になりますので注意しましょう。

人がジャンプするとアキレス腱が強くひっぱられ、着地時には踵の軟骨に大きな衝撃が加わります。 成長途中の子供骨は衝撃に弱いため、この動作によって炎症や軟骨の骨折を起こしてしまうのです。

症状としてはアキレス腱周辺の強い痛みです。 痛みは運動時に強くなりますが、セーバー病では安静時にも痛みがありあます。 また、骨中の血管が切れてしまい、血流障害が起こると踵骨が壊死することもありますので、必ず治療を受けるようにしましょう。

検査法・治療法

セーバー病は原因が炎症の場合と軟骨の骨折の場合があるため、まずはエックス線検査をして確認します。 治療では運動を中止し、炎症が治まるのを待ち、アキレス腱周囲の筋を手技療法や電気療法(干渉波・低周波)で緩めて負担を少なくします。歩き方を工夫して踵にかかる負担を軽減することや、踵のクッションが優れたシューズに履き変えることも有効な治療法になります。痛みが強い場合には松葉杖を使って負担を避けるのもいいでしょう。

セーバー病やオスグット病は成長痛として安易に捉われがちですが、症状が進行すると骨が壊死することもある大変怖い病気なのです。 また、症状を放置することはスポーツに打ち込む子供の貴重な時間を無駄にすることになるため、痛みの症状が現れたら必ず治療を受けるようにしましょう。

下伸筋支帯の炎症

下伸筋支帯の炎症とは、足首を囲むように存在している下伸筋支帯に炎症を起こし痛みの症状が現れる疾患です。痛みは足首を動かすと強くなり、足首の前面に痛みの症状が起こります。 サッカー選手や車の運転が好きな人、タクシーのドライバーなど足首をよく使う人に多く見られる疾患です。

原因・症状

下伸筋支帯は筋膜が変性してできた腱で、ちょうど足首を回り込むようにして存在しています。 トンネルのような形状により足の背を通る4つの筋肉を足根骨に押しつける役割があります。

他の筋肉を押さえ込んでいるため筋肉が動くと下伸筋支帯と擦れ合い、運動によりこの摩擦が激しくなると炎症を起してしまうのです。これが痛みの原因になります。 アクセル、ブレーキを使うなど日常的に足首を動かすドライバーや、サッカー選手など足首をよく動かす運動で起こりやすい疾患です。

下伸筋支帯を発症すると足首の前面に痛みと腫れの症状を起こします。 痛みは足首を動かすことで強くなる特徴があります。そこまで強い痛みではないので我慢しがちになりますが、治療をしないと炎症が悪化し痛みが増していきます。

治療法・予防

下伸筋支帯の炎症を治療は、炎症が進んでいると激痛を伴いますので、患部のアイシングや湿布を用いることで痛みの緩和をはかります。

また、足首を動かすことで下伸筋支帯に炎症が起こるため、テーピングやサポーターで足首を固定するのも有効な方法になります。同時進行で周囲筋を手技療法や電気療法(干渉波・低周波)で弛緩させておくと良いです。痛みが引くまでは激しい運動は控え、安静にするようにしましょう。

三角靭帯損傷・足首の外反捻挫

三角靭帯損傷は、足首を外側に捻った際に、三角靭帯を損傷してしまう疾患です。一般的には三角靭帯損傷とはいわず、簡単に足の捻挫と言われています。

痛みの症状を伴いますが、その強さは靭帯の損傷度合いにより異なります。 また、他の靭帯を一緒に損傷することもあり、そのまま放置すると靭帯がゆるんだ状態でくっついてしまうため必ず治療を受けるようにしましょう。

原因・症状

三角靭帯は内くるぶしにある靭帯(内側(側副)靭帯)をいい、後脛距靭帯、脛踵靭帯、脛舟靭帯、前脛距靭帯から構成されています。この靭帯に損傷をきたすことを三角靭帯損傷といい、一般的には足首の捻挫と言われています。 また、三角靭帯を損傷すると同時に、外側靭帯を損傷したり脛骨果部に骨折を起こすこともあります。

靭帯損傷は程度によりⅠ、Ⅱ、Ⅲと分類され、Ⅰは痛みも少ない微小断裂、Ⅱは痛みも増ししっかりした治療が必要になる部分断裂、そしてⅢは手術による靭帯再建が必要な完全断裂となります。 完全断裂を起こすと治療が大変になるうえに、歩くことが困難なほど強い痛みを生じます。

治療法・予防

三角靭帯の損傷で痛みが起こっているかと思いきや、痛みが非常に強く中々引かないこともあります。このケースでは骨折も疑われるため、念のためエックス線検査を受けるようにしましょう。 また、どの程度、靭帯を損傷しているのかも重要になりますので、損傷程度の確認も行っておきましょう。

靭帯損傷の治療ではアイシングが基本になります。その後はしっかり包帯などで固定をし、靭帯が回復するのを待ちます。この際、しっかり固定しないとゆるんだ状態で靭帯がくっつき、不安定な状態になりますので注意してください。同時に手技療法、電気療法(干渉波・低周波)もしておくと、復帰が早くなります。痛みが強い場合には湿布などを用いるといいでしょう。

遠位前脛腓靭帯損傷

遠位前脛腓靭帯損傷は足首に強い衝撃を受けた際に、くるぶしの上部にある遠位前脛腓靭帯を損傷する疾患で、足首の前方に痛みを生じます。いわゆる足首の捻挫の一つです。

ジャンプの着地時に起こりやすくバスケットボールやバレーボールのようなスポーツで多発しています。靭帯の損傷は微小、部分、完全に分類され程度により治療方法が異なります。

原因・症状

遠位前脛腓靭帯は弁慶の泣き所の少し下部分にある靭帯です。ジャンプの着地時に足首を捻ったりすると、その衝撃で距骨(足首の下にある骨)が脛骨(脚の内側の骨)と腓骨(脚の外側の骨)の間にもぐりこんでしまい、脛骨と腓骨を繋げている遠位前脛腓靭帯を損傷してしまうのです。

靭帯の損傷は程度の低い微小断裂、痛みが強くなる部分断裂、歩くことが困難になる完全断裂に分かれており、完全断裂を起こすと手術による靭帯の再建が必要になることもあります。

症状としては足首前方の痛みと腫れです。痛みは損傷の程度により異なり、部分断裂までならば、それほど強い痛みはでません。しかし、遠位前脛腓靭帯と同時に外側(側副)靭帯(足首周りの外側にある色々な靭帯の総称)をも損傷してしまうと、痛みも強くなるため歩行困難を生じることもあります。

治療法・予防

検査は、足関節の高さにある部分を押すことで痛みが増すかどうかを見てきます。 痛みが増すようであれば靭帯損傷が疑われます。

治療は損傷程度により異なりますが、微小や部分断裂であれば包帯やテーピングなどでしっかりと固定をし、靭帯がくっつくのを待ちます。固定をしっかり行わないと靭帯がゆるんだままくっついてしまい、関節が不安定になります。併用して電気療法(干渉波・低周波)や手技療法をしておくと復帰が早まります。痛みが強いときは湿布を用いるといいでしょう。損傷度合いや生活習慣によりますが、おおよそ4週間で痛みはなくなり、6週目からは運動を再開することができます。

後脛骨筋炎

足首の内くるぶしに痛みがある場合は、後脛骨筋炎が疑われます。 後脛骨筋はふくらはぎの奥にある筋肉で、ランニングやウォーキングなどスポーツや、立ち仕事をなど後脛骨筋に負荷がかかる作業を続けるとこの部分に炎症を起こします。

発症後は内くるぶし周辺に痛みを生じます。また、偏平足やX脚ぎみの人は後脛骨筋が伸びやすい状態なので、炎症を起こしやすい特徴があります。

原因・症状

足の関節周辺にはアキレス腱、前脛骨筋、後脛骨筋、腓骨筋などさまざまな腱が存在しています。 後脛骨筋の腱はくるぶしの後方から下側を通っていて、動作時に足や身体の安定を保つことや、ジャンプをした際の衝撃を和らげる役割を担っています。 しかし、あまりに強い負荷が断続的にかかると後脛骨筋の腱は引き伸ばされたり、断裂することがあり、これが後脛骨筋に炎症を起こす原因となります。

後脛骨筋炎を発症すると内くるぶしの後ろ側に痛みと腫れを伴います。 症状が進行すると徐々に痛みが足首や足の外側にも出ることがあります。 痛みが軽いからと治療をせず放置してしまうと、筋力の低下や扁平足を強めることになりますので、治療を受けるようにしましょう。

治療法

後脛骨筋炎の治療は、まず、炎症を抑えることが優先になるため、電気療法(干渉波・低周波)などで鎮痛させていきながら、周囲筋を手技療法でほぐし負担を少なくします。運動を日常的にしている人は痛みが治まるまで運動を抑制する必要があります。 痛みが強くなかなか引かない場合は。湿布を用いた上で、足首を包帯固定すると痛みの緩和につながります。非常に稀なことですが、後脛骨筋が完全に断裂してしまった場合は、断裂した後脛骨筋を再建する手術が必要になります。

後脛骨筋炎を進行させてしまうと、足に歪みが起こり偏平足を起こしたり、舟状骨(足の骨の一つ)の変形を起こすこともあるため、ただの炎症だからと軽く考えず必ず治療を受けるようにしましょう。

アキレス腱周囲滑液包炎

アキレス腱周囲滑液包炎は摩擦などにより滑液包が炎症を起こす疾患で、アキレス腱の下部分に痛みを生じます。特に女性に多く見られ、年齢としては主に10代~30歳代の人に多い疾患です。

アキレス腱炎と間違われやすいのですが、アキレス腱炎とは痛む場所に違いがあります。 基本的に運動のし過ぎが原因ですが、骨の形状など先天的なことが原因となり起こることもあります。

原因・症状

アキレス腱と踵の骨の間には、両者の摩擦を防ぎ、スムーズな動きを助ける滑液包が存在します。 滑液包は1つだけではなくアキレス腱、踵骨の両側にあり、ちょうど水風船を横からつぶしたような形状をしています。

激しい運動をするとアキレス腱と踵骨との摩擦がいつも異常に大きくなるため、滑液包の摩擦も強くなりこれが炎症を起こす原因になるのです。はっきりいってしまえば運動のしすぎです。 なお、先天的に踵の骨が後ろに突き出ている人は、ちょっとした運動でもアキレス腱周囲滑液包炎を起こすことがあります。

症状としては踵の腫れと痛みです。このまま運動を続けると腫れや痛みが踵の後ろ側に広がっていきます。さらに悪化すると炎症を起こした滑液包が腫大するため、皮下でしこりになり、これが慢性化するとしこりは硬化します。

治療法・予防

滑液包炎を治療するには炎症を抑えることが必要なので、運動を中止しアイシングなどをすることが大切です。痛みが強い場合には、湿布などを使用すると痛みが緩和されます。また、踵への負担を避けるため特殊なパットやサポーターを使うことも効果的です。

予防にはふくらはぎを中心としたストレッチを入念に行うことや、ふくらはぎの筋肉、特に下腿三頭筋を鍛えることが効果的とされています。

アキレス腱断裂

アキレス腱断裂は名前の通り、アキレス腱が断裂してしまう疾患です。 前十字靱帯断裂と同様に、スポーツで起こる外傷の中では重症度が高い疾患です。

筋肉の収縮が限界を迎えることで起こるのですが、断裂すると激しい痛みを伴います。 また、断裂は部分的なものと完全断裂に分かれ、完全断裂を起こしている場合は手術が必要になります。

原因・症状

アキレス腱は正式には「踵骨腱」といい、ふくらはぎにある下腿三頭筋が束になってできたものです。元々、他の筋肉とくらべ非常に細く出来ているため、断裂や炎症を起こしやすい部分なのです。 アキレス腱の断裂を起こす原因は筋肉の収縮に限界がくることです。

急激なダッシュや方向転換などの動作では、筋肉が急激に収縮します。 この時、アキレス腱を強く伸ばしてしまうと、ふくらはぎの筋肉が限度を超えてしまうため断裂を起こすのです。断裂時に後ろからバットやボールなどでぶつけられたり、蹴られたような感覚があります。完全断裂した時には「ブチッ」という切れた音がするケースがあります。

症状は、爪先立ちができなくなりますが、自分で寝ながらの足を下に動かすことは違う筋肉によってできます。部分断裂なら踵周辺の痛みや腫れを生じます。 また歩くことで痛みを感じたり違和感を覚えることもあります。 完全断裂をしている場合は激しい痛みと腫れを生じ、歩行することも困難になるでしょう。 断裂した直後ですと、アキレス健部分が陥凹しているのも特徴です。

治療法・予防

完全断裂の場合は、断裂部を縫合する手術を行うのが一般的です。 術後4~8週間はギプスで固定することが必要になります。運動を開始には最低でも半年ほど時間がかかります。部分断裂の場合はアイシングやストレッチと手技療法、電気療法が有効です。 特に血行が悪い部分のため、手技療法や電気療法(干渉波・低周波)を使うことで回復を早めることが期待できます。

アキレス腱断裂を予防するには、ウォーミングアップをしっかり行い筋肉を伸ばしておくことです。また、下腿三頭筋の筋力アップも効果的でしょう。

アキレス腱炎

アキレス腱炎はランニングのような断続的に負担をかける運動をすることでアキレスが炎症化し、かかと周辺に痛みを生じる疾患です。

運動が原因で引き起こすこともありますが、先天的に骨の形状が異なる人は運動以外でもアキレス腱炎になることがあります。アキレス腱炎は主に10代~30歳代の女性に多くみられる疾患です。

原因・症状

ふくらはぎは上から内側筋、外側筋、ヒラメ筋、アキレス腱で構成され、最後は踵骨につながります。 アキレス腱は踵骨とヒラメ筋をつないでいる腱なのです。 他の筋肉や靭帯と比べアキレス腱は大変細くなっており、負担がかかると小さな断裂が起こるため炎症化しやすいのです。つまり、アキレス腱炎は激しい運動による腱の酷使と、疲労の蓄積によって発生する疾患です。

症状は運動時に起こる踵周辺の痛みと腫れです。痛みは指で押さえると増強します。 運動を中止すると痛みは治まりますが、悪化することで安静時にも痛みが伴うようになります。 さらに進行すると腱自体が硬化し、痛みが増すだけでなく足関節の動きを鈍らせることになります。

検査方・治療法

アキレス腱炎の検査ではMRIや超音波検査が有効とされ、この検査により変性や詳細な状態を確認することができます。X線検査も使われていますが、患部の状態がはっきり写らないことが多く診断をつけずらいようです。

アキレス腱の治療は、腱の微細な断裂(炎症)が治まるまで運動を抑制するようにしましょう。強い痛みがある場合は湿布が有効です。その後は硬くなっているため、手技療法や電気療法(干渉波・低周波・ライズトロン)などで硬さをとらないとまた傷めます。 また、ヒラメ筋の筋力強化ストレッチはアキレス腱炎の予防の大変有効な方法ですので、是非取り入れるようにしましょう。