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ショパール関節捻挫・リスフラン関節捻挫

ショパール関節捻挫、リスフラン関節捻挫は足の甲にある小さな関節内で靭帯の損傷が起こり、足の甲に痛みの症状を起こす疾患です。

断裂の程度によりますが、基本的にはリハビリをしっかり行わないと痛みが治まることはありません。 重症化すると他の靭帯にも損傷が起こる合併が起こりますので注意しましょう。

原因・症状

ショパール関節、リスフラン関節はいずれも足にある小さな関節で、中央部にあるのがリスフラン関節、後方部にあるのがショパール関節になります。(ちなみに学生時代に「内のものを外にショリ」って覚えたのを思い出しました)

階段の昇り降りやジャンプの着地などの際に足を捻ったり、つま先立ちの状態で上から負荷がかかってしまうとこの関節をつなげている靭帯が部分断裂を起こすことがあります。 これがショパール関節捻挫・リスフラン関節捻挫を起こす原因です。

現れる症状は足の甲の痛みです。この痛みは歩行や運動時に起こり、安静にしていると治まります。治療をせず放置すると衝撃を吸収する土踏まずが機能しなくなります。 吸収しきれない衝撃は外側靭帯にかかり始め、最終的に外側靭帯も損傷することになります。

治療法

捻挫だからと甘く見てはいけません。捻挫とは靭帯が部分的に断裂している状態のため、放置することで断裂が広がり、最悪の場合、治療に手術が必要になることもあります。 悪化させないためにも必ず治療を受けるようにしましょう。

関節捻挫の治療では患部を冷やし、負荷がかからないように包帯や、サポーターなどで固定をします。 靭帯がくっつくまで運動は控えめにしましょう。 同時進行で、電気療法(干渉波・低周波)や手技療法などを受けると血行が促進され回復を早めることができます。

シンスプリント

シンスプリントは「脛骨疲労性骨膜炎」とも呼ばれるもので、慢性的に疲労が蓄積することで脛の骨膜に炎症が起こり痛みの症状を起こす疾患です。

陸上の長距離走やテニス、バスケットボール、エアロビクスなどのスポーツでよく見られ、アスリートであれば一度はシンスプリントを起こすとまで言われている疾患です。 成長期の子供にも起こることがあります。

原因・症状

ふくらはぎには腓腹筋とヒラメ筋という筋肉がありますが、ジャンプなどの動作には主にヒラメ筋を使うことになります。この動作を繰り返し行うことで、ヒラメ筋に過度の緊張が起こります。 これによりヒラメ筋がついている骨の滑膜も牽引され、限界を迎えると炎症を起こしてしまうのです。

また、足が内側に傾いている過回内足の人は、ジャンプ着地時により大きな負荷がかかるため、シンスプリントを起こしやすい傾向があります。その他、コンクリートでのジャンプ動作や、足の筋力低下も衝撃を吸収しにくくなるため、シンスプリントを起こしやすくなります。

シンスプリントの症状は脛の中央より下部分に痛みと腫れが起こり、症状が強く出ると患部に腫脹やへこみが現れることもあります。痛みは歩行時や蹴る動作などをすると強くなります。

治療法・予防

シンスプリントの治療では、ランニングやジャンプなど強い負荷がかかる動作を減らす必要があります。 電気療法(干渉波・低周波)や手技療法も有効になります。運動量も関係していますので、運動量の見直しをすると再発防止につながります。

予防にはふくらはぎの筋力強化やストレッチが効果的です。 そのため、運動をする前にはストレッチをしっかり行い、運動後は患部をアイシングするなどアフターケアをするようにしましょう。

長短腓骨筋炎

長短腓骨筋炎はふくらはぎの筋肉の一種、長腓骨筋と短腓骨筋に炎症を起こす疾患です。 くるぶし周辺に痛みの症状を起こし、進行すると歩行障害をきたすこともあります。 また、打ち身などを起こしていないにも関わらず痛みが出る疾患で、O脚の人に多く見られる特徴があります。

原因・症状

腓骨筋には膝蓋骨始から腓骨筋支帯を通り小指の付け根までをつながっている長腓骨筋と、腓骨の外側から始まり中指までをつなげている短腓骨筋があります。 この筋肉は足の関節を外へ反す動作や、底屈などの動作を補助する役割をもっています。

ここに筋肉疲労を起こし炎症化してしまったのが、長短腓骨筋炎です。 原因は運動のやり過ぎ、つまりオーバーユースですが、腓骨筋自体が擦れ合い炎症を起こすこともあります。

長短腓骨筋炎の症状は、どちらの腓骨筋に炎症を起こしているかで異なりますが、基本的にはくるぶし周辺の痛みと腫れが主な症状です。人によっては足の甲に痛みが生じることもあります。 また、重症化させると痛みから歩くことが困難になることもあるため、症状を放置せず必ず治療を受けるようにしましょう。

治療法・予防

足首の関節を底屈され小指側を上げた状態で、抵抗を加えた際に痛みがある場合は長短腓骨筋炎が疑われます。

治療は患部のアイシングや電気療法・手技療法などが効果的です。 痛みが強い場合には、テーピングや包帯で患部を固定し、足首を動かさないようにすると痛みが緩和されます。

腓腹筋肉離れ

腓腹筋肉離れは激しい運動によって起こるふくらはぎの筋肉の肉離れです。 発症すると激痛が走り、歩行に不安感を感じることもあります。

原因は必要以上に筋肉を緊張させることによる筋断裂です。 主にスタートダッシュや急激なストップ動作を繰り返す運動で起こりやすく、スポーツでいうならサッカー、バスケットボール、野球などでも見られます。

原因・症状

ふくらはぎの筋肉は踵骨から大腿骨までつながる大きな筋肉です。 複数の筋肉から構成され、腓腹筋外側筋、腓腹筋内側筋、ヒラメ筋などがあります。 この3つの筋肉を合わせたものを「下腿三頭筋」といいます。

元々、腓腹筋は膝を伸ばすだけでも緊張するものでが、これに足首を曲げるなどの動作が加わるとさらに緊張度が増していきます。この緊張に絶えられなくなると筋肉が断裂する、つまり肉離れを起こすのです。

肉離れは、ほぼ断裂がないものをⅠ、数本の断裂があるものをⅡ、筋肉が完全に断裂したものをⅢと分類していきます。症状もこの分類により異なりますが、どの状態にも激しい痛みが伴い、断裂部には陥没が起こることもあります。また、ⅡやⅢまで断裂した状態だと歩くことが困難になるでしょう。

治療法・予防

どの程度肉離れを起こしているか、確実な診断をするには、発症から数日経過したほうがわかりやすいと言われています。

治療は保存療法が中心になります。とくにRICE療法が効果的で、テーピングで固定することを組み合わせることで回復を早めることが出来ます。 また、電気療法も効果があるとされています。傷ついた筋肉は古傷になり、硬くなり、再び傷めるので手技療法などで緩めることも必要です。

肉離れを予防には、筋肉に柔軟性を持たせるストレッチが効果的で、軽い筋力トレーニングを行うのもいいでしょう。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤は足の静脈にある弁が機能不全となり、静脈の逆流が起こる疾患です。 30歳以上の女性に多い疾患で、特に出産を経験している女性に多く見られる疾患です。

発症すると足のだるさや、こむら返り(足がつる)ことが多くなります。 また、ふくらはぎの血管が浮き出て、ボコボコいるのが自分でも確認することが出来ます。

原因・症状

人間には心臓から全身へ血液を送る動脈と全身から心臓へ血液を戻す静脈があります。 心臓に戻す静脈血は筋肉の収縮で起こるポンプと、静脈内の弁の作用によって心臓に戻っていけるのです。この弁が何かしらの理由で機能不全となり逆流が起こっているのが下肢静脈瘤なのです。

主な原因は足の筋力不足と立ちっぱなしでいることです。立ちっぱなし、つまり筋力を使わない状態を長時間続けることは足の静脈に大きな負担をかけます。 下肢静脈瘤が美容師、理容師、販売員などの人に多いのはこのためです。

主な症状は足のだるさや重く感じることです。人によっては就寝時にこむら返りを頻発することもあります。また、静脈が部分的に浮き出るため、ふくらはぎがボコボコした形状になることもあります。

治療法・予防

下肢静脈瘤の治療では、普段は包帯を利用し、足に適度な圧力を与え血液がたまることを防ぐ方法があります。 そのほかにも、手技療法などで、血流を良くすることも良いでしょう。ただし、重症化している場合には、神経を抜く、静脈を切ってつなげるなどの外科治療が必要になるため早期治療をこころがけましょう。

下肢静脈瘤を予防するには、屈伸運動や足首を回すことを定期的に行うことが効果的です。 立ち仕事の人は1時間に1回は念入りな屈伸運動を行うと予防につながります。

腓腹筋内側頭炎症

腓腹筋内側頭炎症は膝の後ろ側の筋肉、ふくろはぎの内側の上部に炎症を起こす疾患です。 クーラーなどで部屋の温度が低くなった時や、寒い季節になると膝裏に痛みを生じます。 元々、膝に疾患がある人はその疾患をかばっているうちに二次的症状として起こしてしまうこともあります。

原因・症状

ふくらはぎの筋肉はアキレス腱から大腿骨までつながる大きな筋肉です。 3つの筋肉から構成され、上部には腓腹筋外側筋と腓腹筋内側筋、下部にヒラメ筋があります。 腓腹筋内側頭炎症はふくらはぎの上外側にある腓腹筋内側筋に炎症を起こすことで起こります。

原因は運動不足によりふくらはぎの筋力が衰えていることです。 ふくらはぎは全身の血液を心臓に戻す大切な役割を持っていいます。筋力低下が起こると血行障害になりやすく、これにより抹消部分の腓腹筋の働きがさらに鈍り筋肉疲労を起こしてしまうのです。 内側だけに炎症を起こす理由は、内側の方が外側より高い位置にあるため牽引力が強いためです。

腓腹筋内側頭炎症の症状としては膝裏の痛みなどが主なものですが、その他に就寝時に足がつりやすくなる症状が現れるケースもあります。

治療法・予防

下肢動脈瘤やベーカー嚢腫と症状・特徴が似ているため、まずはどの疾患が生じているか鑑別が必要です。簡単な方法としては、鏡でふくらはぎを写し血管がボコボコ浮き上がっていたら下肢動脈瘤の可能性があります。膝裏だけが腫れている場合はベーカー嚢腫が疑われます。

治療としては、負担を軽減するために手技療法や電気療法(干渉波・低周波)でほぐしたり、腓腹筋内側頭のストレッチ、筋力アップなどで痛みの緩和をはかります。血行不良が原因なので、血行を促進すり足湯などもいいでしょう。

成長痛といわれるもの

子供特有の痛みの疾患といえば成長痛があげられるでしょう。 この成長痛とは成長期の子供がひざ、ふくらはぎ、足首、足の甲など関節の痛みを訴えているにも関わらず、骨や筋肉などに異常が認められない場合に付けられる診断名です。

つまり、原因がはっきりしない痛みの症状が出ているが、特に問題にはならないであろう疾患という意味なのです。

原因・症状

成長痛といわれると骨や筋肉の成長に伴う痛みと考えられがちですが、体が成長するスピードは何か問題を起こすほど速いものではないと言われています。 また、精神的なものを原因と考えている専門家もいるようですがこれも確かな証拠があるわけではありません。

実は成長痛の多くは成長期に見られる骨端部分のもろさが原因となって症状を起こしているケースが多いのです。骨端部分は他の骨より柔らかい組織で形成されており、激しい運動などで強い負荷がかかると炎症を起こしやすいのです。これが痛みを起こす原因になっています。

成長痛は様々な部分に起こり、痛みの強さも人のよって異なります。 しかし、ある一定の年齢に達すると痛みが消えてしまうのは共通した特徴といえます。 また炎症を起こしているだけなら、運動を控えることで痛みが消えることもあります。

治療法・予防

成長痛を治療には痛みが治まるまで運動を控えてもらい、周囲筋を手技療法や電気療法(干渉波・低周波)でほぐし負担を少なくすることが有効です。

成長痛は適切な処置をすれば重症化することがない疾患ですが、治療をせず放置すると骨に異常が起こり、後遺症を残すこともあるため医療機関にかかりましょう。

膝蓋靭帯炎

膝蓋靭帯炎は「ジャンパー膝」とも言われる疾患で、名前の通りジャンプをしたときに膝のお皿部分が痛む疾患です。ジャンプだけでなく、膝の曲げ伸ばしをする動作にも痛みが伴います。

膝の他の疾患がある場合、その痛みをかばっているうちに二次的症状として発症することもあります。バレーボールや、バスケットボール、サッカーなどのスポーツで起こりやすい疾患です。

原因・症状

膝蓋骨は膝にあるお皿のような骨です。 主に外から受ける衝撃から膝の内部を守る役割を担っています。 膝蓋靭帯炎はこのお皿と脛骨、大腿骨をつないでいる靭帯に炎症が起こる疾患です。

ジャンプという動作はまず太ももの筋肉が収縮し、その力が膝蓋骨・靭帯を通して脛骨に伝わり、結果膝を伸ばすことにつながります。この動作を繰り返すと、膝蓋靭帯に大きな負荷がかかり炎症を起こすことになります。つまり原因は度重なる膝の酷使、つまり使いすぎていることです。

炎症を起こすと膝蓋骨の下部分に痛みが出始めます。最初はジャンプやランニング時だけに痛みが出ますが、運動を続けることで炎症が悪化しちょっとした動作にも痛みが出るようになります。 場合によっては太ももの筋肉が縮んで固くなることもあります。

治療法・予防

痛みの症状を緩和するには運動を中止し膝を休ませることや手技療法や電気療法などで周囲筋を緩めることが大切になってきます。 痛みが強い場合は、湿布を使い対応します。 ごく稀ですが、重症化すると手術をすることもありますので注意しましょう。

予防には大腿四頭筋や大腿二頭筋など太ももに関係した筋肉に余裕を持たせるストレッチが効果的です。この部分の筋力トレーニングを合わせて行うとより効果があります。

オスグッド病

オスグッド病は膝のお皿の下にある骨が腫れて痛を生じる疾患です。 主に小・中学生のスポーツ選手に多く発症し、成長期に起こる膝の障害の中で最も多い疾患とされています。オスグッド病は両足に出ることが多く、治療をせず放置することで脛骨を骨折することもある恐い病気です。

原因・症状

膝の曲げ伸ばしを支えている膝蓋靭帯は脛骨につながっているのですが、成長期の子供はこの付着部分が軟骨で出来ています。 スポーツなどで膝蓋靭帯が繰り返し引っ張られると接合部分が炎症を起こしします。これが進行すると接合がはがれ、骨の一部と一緒に浮き上がってくるのです。これがオスグッド病です。

治療をせず放置すると脛骨を骨折をしてしまい、こうなると手術以外治療法がなくなり長期間スポーツが行えなくなります。オスグッド病は早期発見・早期治療が必要な病気なのです。

オスグッド病の症状は膝のお皿の下部分が徐々に突出し腫れと痛みを生じます。 この痛みは休むと消滅しますが、運動を始めると再発します。 なお、痛みが出る部分は骨の成長度合いによって異なり、成長期の子供はお皿の下、骨が成熟する高校生・大学生はお皿の上部が痛みます。30歳以上になるとお皿全体に痛みが生じます。

治療法・予防

オスグッド病の診断にはMRI、レントゲンなどの画像検査が最も有効とされており、炎症性の変化や剥がれた骨の形状などを確認することが出来ます。

治療は年齢によって異なりますが、成長期の子供なら、成長段階の一過性の病気のため、成長期が終われば多くの場合自然と治癒されます。しかし、痛みが治まるまで運動を控え、ストレッチや手技療法・電気療法(干渉波・低周波)などで筋肉の緊張を緩和させるべきです。

痛みの症状がなければ運動をしても問題ありませんが、運動の前後は大腿四頭筋のストレッチを必ず行い症状を悪化させないようにしましょう。

腸脛靭帯炎

腸脛靭帯炎は別名「ランナー膝」といわれ、その名の通り長距離のマラソンランナーに多い疾患です。

炎症は大腿骨と腸脛靭帯がこすれることで起こり、膝の上部の外側に痛みの症状を起こします。 主な原因は膝の酷使です。このように限度を超えて筋肉や腱、関節を動かし損傷を起こすことは「オーバーユース症候群」といいます。

原因・症状

腸脛靭帯は大腿骨の外側を通って骨盤と脛骨をつないでいる靭帯です。 足の外側にある靭帯で、数ある靭帯の中で最も長い靭帯とされています。この腸脛靭帯が大腿骨とこすれて炎症を起こすのが腸脛靭帯炎です。

原因は過剰に膝を酷使することですが、ウォームアップ不足や硬いシューズを使うことも腸脛靭帯炎を起こす要因になります。マラソンランナーに多い疾患ですが、バスケットボールやサッカー、水泳、バレエなどでも起こりえる疾患です。

症状としては膝の外側から太ももにかけての痛みです。痛みは運動時に強くなり、休むと緩和されます。ただし、治療をせず運動を続けると、痛みは日増しに強くなり、休んでも簡単には消えなくなってしまいますので注意しましょう。

治療法・予防

腸脛靭帯炎の治療は、酷使した膝を休ませ、ストレッチなどで緊張した筋肉を伸ばし、硬くなった筋肉を手技療法や電気療法(干渉波・低周波・ライズトロン)でとっていく療法があります。痛みが強い場合には湿布などの薬物療法を行うこともあります。

また、大腿筋や股関節外側部のストレッチを運動前・運動後に行うことは腸脛靭帯炎の予防に有効とされていますので、普段から運動をしている人は大腿筋、股関節のストレッチを欠かさないようにしましょう。